札幌屈指の、お洒落な高級レストランが集まる円山エリア。國光の店主・小向利春は、そこでイタリアンの店長をしていた。その一方で妻の父は、現在の店があるこの場所で「横丁の寅さん」というラーメン屋を３５年間営んでいた。そこへ義父の引退話しが持ち上がる。貸店舗にして自分はイタリアンを続けるか迷った末、最終的にラーメン好きだった店主・小向が選んだ道は、イチから独学で自分のラーメンを作り始めることだった。

　「義父の作るラーメンはあまり好きではなかった」と当時を振り返る。そこで店名はもちろん、スープの味も全てリセットし、文字どおり看板を掛け替えてのスタートなった。妥協を許さない素材へのこだわりと製法。ひと口めで旨いと感じるこだわりのスープを守るために、店主・小向は朝１０時から深夜２時頃まで毎日店にいる。日中の時間は、ほとんどスープ仕込みに費やす毎日だが「この味は誰にも作れない。味で自分の人生を表現しているのだから、当然の仕事だ」と言い切る。

　國光のテーマは進化し続けること。オープン当時はとんこつのしっかりした白湯スープを使っていたが、進化し続けて今は全然違う形になっている。しかし今の形もゴールとは考えていない。國光らしさを残しながらも、とにかく進化し続けていきたい。「味が変わっても、絶対に美味しくないと嫌だ」･･･と、店主・小向の熱い目が光った。